院長コラム

COLUMN

OCTA(光干渉血管撮影)装置を導入いたしました

2021.12.15

OCTアンギオグラフィー(OCTA)は、OCT(光干渉断層計)を用いて、3次元的に眼底の血管を描出する新しい検査法です。この検査法の対象疾患は、網脈絡膜血管に異常を来たす疾患すなわち糖尿病網膜症、黄斑変性症、網膜静脈閉塞症、網脈動脈閉塞症、中心性網脈絡膜症、網膜細血管瘤、脈絡膜腫瘍などです。
従来、眼底の血管撮影には、造影剤を静脈注射して何十枚もの眼底写真を撮影する方法が用いられてきました。この方法では、造影剤によるショックやアレルギーの副作用が発症したり、比較的検査時間が長くかかる等のため、頻回に検査することはできませんでした。一方、このOCTAは、光干渉断層計(OCT)を用いて1枚の眼底写真を撮影するだけです。検査時間は極めて短時間で、造影剤を用いず非侵襲性ですので副作用も全くありません。そのうえ、眼底の血管を浅層、深層等深度別に描出することができます。手軽に頻回に行えるOCTAの導入によって、上記の疾患の診断や病態の把握がより正確になり、適確な治療法の選択が可能となりました。

カテゴリー| 網脈絡膜疾患

新型コロナワクチンの眼科的副反応

2021.10.22

 令和3年10月19日現在、日本における新型コロナウイルスに対するワクチン接種完了者(2回接種者)は8650万人、全人口の68.8%に達したそうです。最近の感染者数急減には、ワクチン接種が大きく貢献しているものと思います。一方、このワクチン接種による副反応についての大規模な調査も報告されています。ファイザー社製のワクチン接種1億回以上を対象にした接種後の副反応報告によると、副反応疑いとして報告された症状疾患は、接種部の腫脹・発赤・疼痛、発熱、倦怠感、頭痛、嘔吐、筋肉痛などが主なものです。しかし、これらの諸症状以外にも、ほとんど全身に渡ってありとあらゆる症状や疾患が報告されています。眼科的な障害もたくさん報告されています。最も多かった症状は、眼(結膜)の充血、眼瞼の腫脹、視力低下、眼のかゆみなどでした。病名としては白内障、緑内障、網膜裂孔、網膜剥離、網膜出血、網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞、結膜炎、強膜炎、虹彩炎、ぶどう膜炎、視神経炎、硝子体混濁、眼球運動障害、光視症などが報告されており、眼科的な副反応もとても多彩です。私の患者様の中にも、1回目の接種後2日目にぶどう膜炎を発症した方がおられました。一週間で炎症は消失し、2回目の接種では全く炎症は出ませんでした。この方は、もともとぶどう膜炎の既往があり、ワクチン接種の副反用かどうか診断に迷う所です。新型コロナウイルス自体も、ワクチン接種も非常にうっとうしいですね。第六波が来ない様に祈るばかりです。皆様、今後も油断無く、感染防止に努めていただきたいと思います。

カテゴリー| その他

小児の近視眼に対するオルソケラトロジー治療について

2021.07.09

  オルソケラトロジー治療とは、特殊な形状の高酸素透過性ハードコンタクトレンズを夜間就寝時に装用することによって、角膜前面を平坦化させて近視を矯正する方法です。この方法で十分な矯正が得られれば、昼間はメガネやコンタクトレンズが不要となり、裸眼で快適に過ごすことができます。また、装用を中止すれば、角膜形状や屈折状態は元に戻りますので、可逆的な安全性の高い方法と言えますが、長期的な副作用については、新しい治療法ですので解っていないのが現状です。一方、近年小児期にこのレンズを継続して装用すると、眼軸長の伸展が抑制され近視の進行が抑制されることが解ってきました。成人後、強度近視になると様々な重篤な眼の病気を引き起こすことが知られています(悪性近視)。本方法は、単に近視を矯正するだけではなく、強度近視とそれに伴う重篤な眼合併症(悪性近視化)を予防できるという点で大変意味のある治療方法と思われます。

カテゴリー| 近視

眼瞼けいれんに対するボトックスについて

2021.04.28

当クリニックでは『ボトックス(ボツリヌス毒素)』による治療を開始します。
「眼瞼けいれん」や「片側顔面けいれん」は、まぶたや口元が不随的にけいれんするという症状が典型的ですが、初期症状として目や目の周囲に違和感や異物感がある、まばたきが多い、眩しい、目を開けているのがつらい、目がショボショボする、といったドライアイとよく似た症状もあります。本治療法は、これらの症状に対して最も有効な治療法と考えられています。
ボトックスは筋肉の緊張をやわらげる作用があります。まぶたのまわりの緊張している筋肉にボトックスを直接注射することで、筋肉のけいれんや収縮の原因になっている神経の働きを抑え、緊張しすぎている筋肉を緩めるものです。
ボトックス治療の効果は通常2~3日後から現れ、おおむね2~4ヶ月ほど効果が続きます。効果が弱まってくると、再びけいれんの症状が出てきますので、繰り返し注射を行う必要があります。副作用として、皮下出血、閉瞼不全、眼瞼下垂、視力低下などが起こる場合がありますが、いずれもボトックスの効果が切れると改善します。
治療を受けた方の80%で症状の改善が得られるという統計が出ていますが、効果の出方や持続時間、また副作用の出現率には個人差があります。また、片眼のまぶたがピクピクと小刻みに動く「眼瞼ミオキミア」との鑑別も必要です。
目のまわりや顔のけいれんでお悩みの方は一度ご相談下さい。  (副院長 記述)

カテゴリー| 眼瞼(まぶた)疾患

アレルギーの原因検査キットの導入

2021.04.28

花粉症の時期も終わりに差し掛かり、目のかゆみを訴える方も次第に少なくなってきました。しかし、いまだにかゆみが収まらない方、花粉症の時期だけでなく一年を通じてかゆみが継続するアレルギー性結膜炎の方もいらっしゃいます。
そのような方が、どんなアレルゲン(原因物質)に反応して目のかゆみ(アレルギー)が出るのかを知ることが出来れば、今後アレルギーとうまく付き合っていけるようになります。そこで今回、当クリイックでは、『イムノキャップラピッド』という、指先から少量の血液を採取した後、約20分待つだけでアレルゲンを特定できるキットを導入しました。
判定可能なアレルゲンはハウスダスト系のダニ・ゴキブリ・ネコ・犬、花粉系のスギ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギの合計8種類です。日常生活の中で目に付着、体内に吸い込んでしまうような主なアレルゲンはほぼカバーされています。
検査結果をもとに症状を発症悪化させている原因を特定し、対策を講ずることでより高い治療効果が期待できます。
ご興味のある方は、スタッフにお声をかけてください。  (副院長 記述)

カテゴリー| アレルギー性結膜炎